共感を拒否する人とどう関わるか
「共感」って本当に難しいなぁと、ずっと思ってきました。
骨折や手術直後の痛みを伴う患者さんは一人で寝返りを打つことができません。そのため介助が必要となります。看護師2人でゆっくりとお手伝いしますが、わずかな動きでも痛みが生じてしまいます。
「痛い!」「ごめんなさい、痛いですよね」「わかった風なことを言うな!」と言われてしまうことがしばしばありました。患者さんが怒ってしまうことは仕方ないんだ、と思うだけ。これ以上の共感は見つけれずにいました。けれども、コミュニケーションを学ぼうとはしませんでした。疾病や技術について学ぶことが先行しているからです。
現場から離れた今、ようやく共感について学ぶことができました。杉原保史さんの『プロカウンセラーの共感の技術』には、拒否のある人への関わりについてこのように書かれています。
拒否のある人も、心の底では共感を求めている。ひどく落ち込み、誰にも心を閉ざしていて、誰とも気持ちを共有したくない状態なのかもしれない。他のみんなは幸せで自分だけが不幸な目に遭っているという思いに陥っているのかもしれない。
対処法としては「あなたは共感されたくないんですね」あるいは「あなたのつらさは誰にも共感できないですよね」と拒否されたことを受け入れることだと書かれています。
拒否さえも受け入れる。それは私にはできなかったことです。今、共感についてしっかり学ぶことができてよかったと思っています。もう、患者さんを余計に悲しませることはしたくないですからね。
▼参考図書▼