読書から、穏やかな心を

本を読み、感想を書くことによる癒しを届けます

『いい緊張は能力を2倍にする』樺沢紫苑著 感想

精神科医 樺沢紫苑先生の著書を読みました。内分泌系の学習が好きなので、緊張を脳科学的に分析し、それに対してのアプロ―チ、とても楽しく読ませていただきました。

緊張の原因は「副交感神経が優位」「セロトニンが低い」「ノルアドレナリンが高い」の3つだといいます。それぞれ緊張を味方にするToDoが盛りだくさんです。私は「ノルアドレナリンをコントロールする」戦略から3つの気づきを得ましたので、ここでご紹介します。

 

気づき①:「人間は実力相応の結果しか出せないし、実力相応の結果が必ず出る」

「ひどい結果」が出る場合はどうやっても準備不足であり、必要な準備や努力をきっちりやっていく必要がある。それ以上にできることもないし、この「やりきり感」が脳のデータベースをポジティブに書き換えられるため、過度な緊張や不安も現れなくなる。その結果、自分の本来の実力を発揮することにつながる。

 

私は看護学校の2年生の夏までバイトに明け暮れ、遊びに夢中で赤点三昧でした(笑)でも、当然の結果だったので「そりゃそうだ」と思いました。しかし、「このままだとまずい」と思い、バイトを辞め、貯めたお金で塾に通い黙々と国家試験勉強を1年半続けました。おかげで自信を持って試験に取り組めました。「ひどい結果」は明らかに準備不足、よくわかります。十分な準備があれば、過度に緊張することはないですもんね。

 

 

気づき②:目的にフォーカスする

最終的な達成すべき目的は何か、その目的にのみフォーカスして余計なことは考えない。緊張しやすい人は、目的とは直接関係のないのない不安や心配で余計に緊張を強めて、目的を達成できなくる。プレゼンで「上手に話そう」はやめた方がいい。それはあなたの最終目的ではない。

 

看護師になってから看護研究の発表を幾度かしてきましたが、そこでの私の目標は「上手に話すこと」でした。ですから一回でも噛んでしまったら、いくら周りが「良かったよ」と言ってくれても「失敗した…」と落ち込んでいました。でも、私の発表の最終目的は「上手に話す」ではなく「わかりやすく伝える」ことだったのだと今振り返ります。聴いてくれている人がわかりやすかったと感じたのなら、それで目標は達成だったのですね。

 

 

気づき③:完璧主義から最善主義へ。

緊張しやすい人は「レジリエンス」が低い。それは、自分自身を追い詰めるだけ。最善主義とは「今の状況の中で、最善を尽くそう」「ベストを尽くそう」「できる限りのことをやろう」と考えられる人。一瞬一瞬、毎回毎回、常に最善を尽くす。そうすれば成功も失敗も関係なくなり、「重要なイベント」だからと緊張しやすいことがなくなる。

 

②でも述べたように、私は完璧主義でした。特に新生児集中治療室で勤務していた時は、常に完璧を求め自分を追い詰めていました。小さな赤ちゃんの処置は1mm単位の仕事で、保育器の中でドクターとマンツーマンで点滴や挿管の介助をし、非常に緊張していました。もともと手先が器用な方ではないので、配属当初は怒られてはへこみ、できない自分が嫌でたまりませんでした。結局はプレッシャーに押しつぶされ、体調を崩してしまいました。でも、著書を読み、最初は完璧にできなくて当たり前だと、改めて思うことができました。自分が最善にできるところまで取り組み、それ以上できないところは周囲にヘルプしたり、ドクターに注意されたところ、できなかったところをダブルで動いてくれている先輩と一緒にフィードバックし、次につなげていけたらよかったんだなと思います。

 

今回は緊張と向き合うマインドについて紹介しました。その他にも緊張を緩和させる深呼吸の方法、筋肉をほぐす方法、効果的な笑顔の作り方など具体的なToDoが記載されています。最高のパフォーマンスをするには緊張は不可欠です。気になった方はぜひ読んでみてください。

 

いい緊張は能力を2倍にする

いい緊張は能力を2倍にする